株式会社ばんそう

【元Big4パートナーが語る コンサル業界で今、起きていること】AIが変えた、コンサルの価値 株式会社ばんそう 松田 克信

元Big4パートナーの松田克信が、AIがコンサル業界にもたらした変化を解説。仮説検証プロセスへのAI活用、ピラミッド型組織の崩壊、これから求められる「問いを立てる力」まで、コンサルの価値がどう変わっているかをリアルに語ります。

登壇者

松田 克信

株式会社ばんそう 代表取締役CEO

松田 克信 Katsunobu Matsuda

新卒で東京三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)に入行、法人融資、不良債権対応、船舶ファイナンスなどの業務を経験。その後、Deloitte Tohmatsu Consulting、Roland Berger、PwC Advisory、MURCなどを経て、ばんそうを創業。経営戦略、事業戦略、資本戦略、M&A、経営管理などを軸に、幅広い業種・規模のクライアントに寄り添ったコンサルティングを実施。PwC Advisoryでは、製造業セクターの戦略領域担当パートナー(役員)として、数多くのクライアントマネジメントやプロジェクトリードを行う。 2021年に株式会社ばんそうを創業し、代表取締役CEOに就任。

AIの進化

AIの進化については、みなさんも日々実感されているのではないでしょうか。以前はChatGPTに質問したりGoogle代わりに検索したりする「調べ物」の道具だったのが、最近では推論モデルを使いながら壁打ち相手として活用したり、AIエージェントを自律的に走らせたりする人が増えてきています。

僕たちが2022年4月に本格始動した時の目的の一つに、「これまで大企業が独占していたプロフェッショナルな知見を、中堅・中小企業でも活用できるようにする」というものがありましたが、それがまさに目の前に迫っています。鹿児島大学さんやインドの大学との共同国際シンポジウムでも、「AIはコンサルティングやプロフェッショナル業務と非常に相性が良い」とお話ししましたが、その実装が着実に近づいていますね。

「コンサルは無くなる」と言った日

実は2021年頃、当時在籍していたPwCアドバイザリーで今の取り組みの枠組みを構想していた際、何人かのパートナーと話したことがあります。「今後AIがどんどん進化したら、コンサルティング業界って無くなるんじゃないか」と投げかけたのですが、当時は同意してくれる人は一人もいませんでした。「AIはどこまで行ってもAIだし、やっぱり人がいないとダメだよ」と言われていたわけです。ところが現在、コンサル業界では表でも裏でもすごくAIが活用されています。

そもそもコンサルとは

そもそもコンサルとは何かという話ですが、実はコンサルタントは弁護士や会計士、医師と違って「免許商売」ではありません。「今日から私はコンサルタントです」と名乗った瞬間からコンサルタントになれるんです。そのため、世の中には様々なコンサルタントが存在します。

マッキンゼーやBCGのような「戦略系」、デロイトやPwCのような「Big 4」、アクセンチュアやIBMのような「IT系」、船井総研さんのように個人の深い知見を生かすタイプ、中小企業診断士のように街の店舗に寄り添う方々など多種多様です。共通する基本的な業務の流れは、「仮説を立て、情報を収集・分析し、仮説を検証してクライアントの課題に解を出していく」という仮説検証のプロセスになります。

そもそもコンサルとは

AIが変えた仕事の中身

この仮説検証のプロセスに、生成AIやLLMがものすごく効いてきています。以前は若手コンサルタントが1週間かけて行っていた情報収集や分析作業が、今では数時間で終わるほどのインパクトがありました。

さらに昨年末から今年初めにかけての「Claude(クロード)」の劇的な進化(いわゆるクロード・ショック)により、情報収集・分析だけでなく、推理や仮説づくりという領域にまでAIが踏み込み始めました。これによって自分たちの考えた仮説が正しいかどうかの「壁打ち」にもAIを使えるようになり、作業のあり方が大きく変わりました。

ピラミッド型組織の崩壊

これまでのコンサル業界は、パートナーやディレクターが仮説を出し、マネージャー層が作業設計や仮説のブラッシュアップを行い、若手がデータ収集・分析を担当するというピラミッド型の役割分担がなされていました。しかし、仮説づくりや推論までAIができるようになったことで、一人でこの一連の流れを一気通貫で行えるようになっています。問いさえ立てられれば、AIを使って短時間で仮説を深められるため、プロジェクトチームは非常にスリム化しています。

一方で懸念されるのが若手の育成です。これまで下積みとして泥臭くデータ分析や情報収集を行ってきたからこそ、適切な「問い」を立てる経験値が培われていました。その下積みがAIに置き換わってしまうと、5年後や10年後に問いを立てられる人が育たなくなり、業界自体が衰退してしまうというリスクも秘めています。

ピラミッド型組織の崩壊

求められる価値の変化

かつては「短時間で手際よくExcel集計やPowerPoint資料を作ってくれた」という作業スキルが高く評価される側面がありました。しかし現在では、そうした作業は生成AIを使えばクライアント側でもできてしまうため、価値を感じてもらえなくなっています。これからのコンサルタントに求められるのは、まさに「問いを立てる力(仮説ドリブンで思考する力)」です。

また、AIのハルシネーション(誤情報)を見抜くためにも、この問いを立てる力が不可欠となります。例えば「この市場なら数千億〜数兆円はあるはずだ」という仮説や感覚を持っていれば、AIが出した「市場規模は15億円です」という結果に対して「何かおかしいぞ」と気づいて検証し直すことができます。単なる作業者ではなく、仮説を持って問いを立てられる人だけが価値を提供できる時代になっています。

経歴詐称が露呈する時代

コンサルタントは免許が不要な職種であるため、実は経歴を偽る人が一定数存在します。「大手ファームでマネージャーをしていました」と語っても、主要ファームにはアルムナイ(卒業生)ネットワークやデータベースがあるため、調べればすぐに嘘だと分かってしまいます。

経歴を偽っていても実力があれば別ですが、きちんとしたトレーニングを受けていないため、プロジェクトに入るとボロが出てしまいます。自ら問いや仮説を立てられないためAIの出力に依存し、AIが間違った結果を出してもそのまま真に受けてクライアントに提出してしまうケースもあります。クライアント側でもできるようなAIの出力をそのまま渡すだけでは価値がなく、経歴詐称者の実力不足がこれまで以上に露呈しやすい時代になっています。

ばんそうが挑んできたこと

弊社では2022年の本格始動以来、AIやテクノロジーを活用して、トップティアファームと同等の知見やノウハウを中堅・中小企業へ届ける仕組みづくりに取り組み続けてきました。

世間では「人手不足」が叫ばれていますが、人手不足の企業こそAIを組み込むことで、これまで10人でかかっていた業務を2人で回せるようになり、課題を劇的に解決できます。弊社には経験豊富なシニアアドバイザー陣も参画しており、経営層と直接対話しながら戦略やM&A、業務改善といった直案件(元請け)を中心に支援を行っています。AI時代において「問いを立てる力」を磨きたいコンサルタントの方や、AIを活用して変革を起こしたい企業様は、ぜひお声がけいただければと思います。

これからのAIと業界

今後もAIの進化は加速していくはずです。昨年末のClaudeの進化をはじめ、SaaS業界やコンサル業界にはすでに大きな影響が表れ始めています。AIがさらに進化する中で、プロフェッショナル業界がどう変わっていくのか、またクライアント企業はどのようにコンサルを活用すべきなのかについて、今後も継続して発信していきます。

これからのAIと業界
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