株式会社ばんそう

世界最大のテクノロジー展示会「CES 2026 レポート」後編:エッジAI・データセンターソリューションと日本企業の取り組み

BANSO CHANNELの第8回は2026年1月にラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES」(Consumer Electronics Show)特集。<br>株式会社ばんそうのAI開発責任者、岡田シェーランと、株式会社ばんそうの執行役員、清水俊太郎による視察報告です。ソフトウェアの進化に留まらず、現実世界で物理的に機能する次世代AIの社会実装が急速に進んでいる様子をレポートします。

登壇者

岡田 シェーラン

株式会社ばんそう AI開発責任者

岡田 シェーラン Shalin Okada

複数のスタートアップにて取締役・CxOを歴任し、技術・プロダクト両面での専門性を活かしながら、事業立ち上げと成長を牽引。特に、共同創業者として参画したCLIMTでは、大規模言語モデル(LLM)や生成AIを活用したプロダクトの企画・開発を主導し、戦略構想から実装、資金調達に至るまで一貫してリード。新技術の事業応用における高い解像度と実行力に加え、複雑な技術的要素をプロダクト価値へと転換するアーキテクチャ設計力を強みとする。 2025年より株式会社ばんそうに参画し、ばんそうAIのプロダクト開発をリード。

清水 俊太郎

株式会社ばんそう 執行役員

清水 俊太郎 Shuntaro Shimizu

株式会社電通にて自動車メーカーや外資系IT企業のプロモーションキャンペーンプランニング、イベントの企画・実施運営業務に従事。2年間の米国ビジネススクールへの社費留学を経て営業部門に異動。外資系IT企業・外食産業および国内モバイル通信会社などのマーケティングコミュニケーション戦略、ブランド戦略、周年事業等に従事。電通上海支社長、グループのIT部門責任者、グループのサステナビリティ部門責任者を歴任。 2025年より株式会社ばんそうに参画し、マーケティング、プロモーション、ビジネスディベロップメントをリード。

GIGABYTE

AIの利用者が増え、裏側でコンピューティングパワーが回っているため、データセンターの需要が指数関数的に高まっています。
ラックの展示が多く見られましたが、電力と水資源の問題が深刻化しています。空冷では追いつかず水冷に切り替わる中で、生活用水や水の奪い合いといった社会問題になりつつあります。

TONOMIA

これまではビッグテックだけのものと思われていたデータセンターですが、自社でAIを稼働させるための場所を作る動きが出ています。
大規模な形ではなく、AIを稼働させるためのソリューションをミニマムなコストで作る動きがあります。
一度中央集権型になったものが、分散していく方向に流れ始めた際に、こうしたソリューションが登場してきているという印象です。

ENEOS

日本のENEOSが展示していたのは、基板の一つ一つが液体に浸かっている水冷(液浸)システムでした。一般的な常識からするとパソコンが液体に満たされているのは驚きの光景です。
地下から水を汲み上げて冷やし、熱を吸い取らせてまた地下に戻すという循環を行っており、水資源を減らさない点が日本的で環境意識が高いと感じられました。
日本の生活用水の温度が低く一定に保たれているため、その熱処理をそのまま活用できる、日本特有の設備であるとのことです。
基板をどっぷり漬けるだけでなく、液体をチョロチョロと流し、浴びせ続ける技術もありました。薄い膜が張られて基板を保護するため、故障しにくいという説明がありました。

エッジAI/AIエージェント

かつてシスコシステムズが提唱した「エッジコンピューティング」(ハブやルーターでデータ処理を行い負荷を分散する)のAI版とも言える構造変化が起きています。
新しいコンセプトとして「HI」という考え方が登場しており、次のステージに来ている感覚があります。

LatticeWork

LatticeWork(ソース内ではラティスワークと言及)は、監視カメラ等の情報を処理するためのローカルの箱(エッジ端末)を展示していました。
AI搭載カメラは頻繁な買い替えが必要でコストがかかりますが、この仕組みではカメラは普通の高解像度のものを使い、データ処理をこの「箱」で行います。画像認識などのAI処理を行い、処理された情報だけをクラウドに送ることで、スマホ等から確認が可能です。
現在はカメラが中心ですが、将来的には農業用の温度や雨量、音声など、あらゆるセンサー情報をローカルで処理し、クラウドで取り出せる形に応用可能です。

Sound Hound

車の操作(右ウインカーを出す、サンルーフを開けるなど)や、運転者に関する周辺操作を音声認識AIで行えるシステムです。
「定期点検の予約を取りたい」と話しかけると、システムと連携して予約まで完了するなど、車の体験全てをAIエージェントでこなそうとしています。
MCPという通信プロトコル規格を使用しており、標準規格さえ実装していればどんな車でも対応可能です。
運転中に物理的な操作が難しい中、音声で全てアシストしてくれる点は、LLM(大規模言語モデル)とフィジカル(実体)が融合した「フィジカルAI」の一例と言えます。

日本企業の取り組み

今年はソニーやサムスンが出展していなかったことが逆に大きなニュースとなりました。
一方で、富士通や日立が久しぶりに出展しており、フィジカルAIの文脈で存在感を示していました。

Fujitsu

富士通は、人間とロボットが同じ空間でコラボレートしていくことを前提とした展示を行っていました。
フィジカルな社会や生活に対して、どのような技術やセンサーが必要になるか、独自の技術や知見を持ってデモを展示していました。

Panasonic

ハイセンスやTCLなどの勢いのある展示に比べると、パナソニックのブースは少し大人しい印象を受けました。
没入コンテンツの入り口などはありましたが、「今これを推している」という焦点が正直見えにくかったという感想がありました。

KOITO

小糸製作所(KOITO)は、対向車や人を認識して、その部分だけハイビームを遮光する技術を展示していました。
従来は8本程度のLEDで制御していましたが、より細かい小型LEDを使用することで、車だけでなくバイクや人も認識し、ピンポイントで制御できるようになりました。
ハイビームを当てられる側の眩しさを防ぐという、ユーザー体験や安全性に直結する分かりやすいAI活用例でした。

MinebeaMitsumi

ミネベアミツミは、繊細な動きと強度を両立したロボットハンドを展示していました。
人間の手の構造を模倣し、中に「腱」を通すことで、5kg程度の重いダンベルを持ち上げられる強度を持ちつつ、リアルタイムでの細かい制御も可能にしています。

Kubota

クボタは、展示映像やブースのコンセプト作りが非常に美しく、農業工作機械が「かっこよくなる」と感じさせるものでした。
何を展示するかも重要ですが、「どう展示するか」によって見え方に大きな差が出ると感じさせるブースでした。

Dyna Robotics

画像認識と2本指のアームを使って、Tシャツやタオルを綺麗に折り畳むロボットを展示していました。掴み損ねても補正しながら、人間がやるようなスピード感で畳んで置いていくことが可能でした。

Compass Rose

韓国の電気バイクメーカーですが、一見ヨーロッパ系に見えるような非常におしゃれなデザインの製品を展示していました。
デザインだけでなく実際に走行可能で、街中で乗っていたら目を引くような製品でした。

XbotGo

野球やサッカーなどのチームスポーツや、子供の動きを自動で追跡して撮影するカメラです。
最新モデルはカメラ一体型ですが、一つ前のモデル(スマホを上に乗せて追跡するタイプ)の方が、価格も2,300ドル程度と手頃で実用性が高いと感じられました。
過去に日本進出を試みたようですが、家電量販店が強い日本の流通文化との違いがあり難しかったようです。

Health

ベネシアンの2階にヘルスケア系が固まっており、多くのブースで賑わっていました。
カメラで顔を撮影し、目のクマや顔色から健康状態を診断するアプリケーションがありました。
Withingsは体重計だけでなく、体温計なども含めてアプリで一元管理できる測定機器メーカーで、デザイン性の高さが特徴です。
単なる健康管理だけでなく、マインドフルネスやスリープテック(睡眠技術)などの文脈も含め注目されていました。

Mobility

自動運転のWaymoやソニー・ホンダ(AFEELA)の展示はありましたが、一時の熱狂に比べると注目度は落ち着き、次のテーマへ移行している印象がありました。
車という形態や自動運転が見えてきた中で、空飛ぶバイクやドローンなど、「車の次」に来る新しいモビリティが求められている("What's Next"状態)と感じられました。

まとめ

生成AIが様々な形でフィジカル(実体・ハードウェア)に実装されていくのが最大のトピックスでした。
製品のコモディティ化(均質化)が進んでおり、特に中国企業のスピード感が圧倒的でした。
日本企業は「信頼性(セキュリティ)」と「品質」に強みがあります。そこに「スピード感」を乗せていくことが重要です。
セキュリティやプライバシー重視の流れで、ローカルで処理するエッジAI(HI)は、日本の得意な土俵(センシング技術や個別最適化)になり得ます。

2026年は技術の均質化が見えましたが、2027年にはこれらが「社会実装」されていく段階に入ると予想されます。乗り遅れずについていくことが重要です。

ばんそうAIについて

ばんそうAIは株式会社ばんそうが開発中の、経営支援・経営コンサルティングを行うAIプラットフォームです。
2026年2月27日(金)の大安吉日に正式サービス開始予定です。
現在ウェイティングリスト(事前登録)を受け付けており、登録者には何らかの特典を提供する予定です。

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