登壇者

BEyondFab 代表
島岡 なつ美 Natsumi Shimaoka
シティグループやGAP、エスティ ローダー などの外資系企業において、20年以上にわたり人事・組織開発の責任者を歴任。これまで2万人を超える人材育成に携わり、リーダー育成による売上200%達成や女性役員比率30%の実現など、実務に直結する支援を行う。 現在はその経験を活かし、製薬・金融・小売など多業種において、評価制度の再構築や組織文化の変革を支援。次世代リーダーの育成からエンゲージメント向上施策まで、現場主義のスタイルで個人の成長と組織の課題解決を両立させる活動を展開。

株式会社ばんそう 執行役員
清水 俊太郎 Shuntaro Shimizu
株式会社電通にて自動車メーカーや外資系IT企業のプロモーションキャンペーンプランニング、イベントの企画・実施運営業務に従事。2年間の米国ビジネススクールへの社費留学を経て営業部門に異動。外資系IT企業・外食産業および国内モバイル通信会社などのマーケティングコミュニケーション戦略、ブランド戦略、周年事業等に従事。電通上海支社長、グループのIT部門責任者、グループのサステナビリティ部門責任者を歴任。 2025年より株式会社ばんそうに参画し、マーケティング、プロモーション、ビジネスディベロップメントをリード。
評価制度の課題
私たちは評価制度を、会社のミッション・ビジョン・バリューと連動させ、社員の行動の価値基準として機能させる必要があります。従来の「頑張っている」「真面目である」といった仕事への姿勢を評価する手法は客観性に欠け、「上司ガチャ」と呼ばれるような不公平感や透明性の欠如を招く課題がありました。この課題を克服するために、私たちは客観的に測定可能な「行動評価」を導入し、等級ごとに求める行動特性(コンピテンシー)を明確に言語化しなければなりません。そして評価者である管理職は、日常的に部下の行動を観察し、適切に評価する責任を担っていく必要があります。

組織における「言語化」の必要性
多様な世代が共存し、組織がフラット化している現代において、かつての「阿吽の呼吸」に頼るマネジメントはもはや通用しません。私たちは、1on1などの頻繁な対話を通じてお互いの期待値をすり合わせ、フィードバックを行うことで、徹底した「言語化」を実践していく必要があります。社員一人ひとりの行動や各部署が定めている価値基準を、全社のバリューと明確に紐づけ(アラインメント)、世代を超えて組織の価値観を合わせていくことで、強固な組織文化を形成していきます。

評価制度が機能していない兆候
評価制度が機能していない組織では、「やってもやらなくても同じ」という空気が蔓延して社員から覇気が失われ、優秀な人材から辞めていくという明確な兆候が現れます。また、大多数の社員が上位評価を得るという「評価のインフレーション」が起きているにもかかわらず、実際の会社の業績や株価が低迷しているような矛盾した状態も、制度が機能不全に陥っている危険なサインです。私たちはこれらの兆候を早期に察知し、自社の評価制度が形骸化していないか常に客観的な視点で点検しなければなりません。

成長を支えるフィードバックのあり方
部下の成長を真に支えるためには、評価者は耳の痛い話であっても、目標に対して足りていない部分を率直に伝える責任があります。波風を立てないために耳触りの良い評価を与え続けることは、結果的に本人が自らの課題に気づく機会を奪うアンフェアな対応です。評価の甘さが蓄積し、後になって経営的理由から急激に評価を下げざるを得なくなった場合、社員のモチベーションを大きく損なうことになります。管理職は日常から高い意識を持ち、本人の長期的な成長を見据えた的確なフィードバックを継続的に実践していく必要があります。

<Part3につづく>

