株式会社ばんそう

【AIの進化と未来 part1】ビジネスでAIは活用できるのか 鹿児島大学高橋准教授×ばんそう松田

BANSO CHANNELの第9回は鹿児島大学の高橋准教授をゲストに迎え、生成AIの急速な進化と今後の展望について解説します。AIの発展は単なる性能向上に留まらず、各開発企業のポリシーを反映した「性格」や「パーソナライズ」の差異として現れている点や、AIが相手の状況を察知して振る舞いを変える可能性、それが購買行動の誘導などプライバシー上の懸念につながるリスクについてもお伝えします(全4話の対談)。

登壇者

高橋 哲朗

鹿児島大学大学院 理工学研究科准教授

高橋 哲朗 Tetsuro Takahashi

鹿児島大学大学院理工学研究科准教授。2005年奈良先端科学技術大学院大学博士後期課程修了博士(工学)。同年株式会社富士通研究所入社。自然言語処理およびデータ分析の研究に従事。2011 年~2012 年および2014年~2015 年マサチューセッツ工科大学にてデジタル技術を活用した教育技術の研究。2024 年から現職。

松田 克信

株式会社ばんそう 代表取締役CEO

松田 克信 Katsunobu Matsuda

新卒で東京三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)に入行、法人融資、不良債権対応、船舶ファイナンスなどの業務を経験。その後、Deloitte Tohmatsu Consulting、Roland Berger、PwC Advisory、MURCなどを経て、ばんそうを創業。経営戦略、事業戦略、資本戦略、M&A、経営管理などを軸に、幅広い業種・規模のクライアントに寄り添ったコンサルティングを実施。PwC Advisoryでは、製造業セクターの戦略領域担当パートナー(役員)として、数多くのクライアントマネジメントやプロジェクトリードを行う。 2021年に株式会社ばんそうを創業し、代表取締役CEOに就任。

AIはどう進化しているのか

現在のAIは、単に質問へ答えるだけの存在から、「もっとこうしましょうか」と提案するなど、AIの「性格」や「振る舞い」が変化する方向へ進化しています。言語モデルの学習後に、エージェントAIとして人々が使いやすく喜ぶような振る舞いをするためのチューニング(味付け)が施されています。そのため、今後のAIの違いは純粋な能力の差というよりも、各社の方針によって作られる「性格の差」として表れてきています。

AIの使い分けはどうするのか

過去データの蓄積によるAIの基本性能の差が縮まるにつれ、今後は「このAIとは気が合う、合わない」といった性格の差やフィーリングによる使い分けが進むと考えられます。仕事用や遊び用など、目的やシーンに応じて人間がAIを使い分けるだけでなく、将来的にはAI側がユーザーの入力時の状況や感情の機微を読み取り、先回りしてパーソナライズされた対応(優しくする、厳しくするなど)を行うようになる可能性があります。一方で、ユーザーの感情が高ぶっているタイミングを狙って高額な商品をリコメンドするなど、プライバシーに関する懸念も生じます。

AGIとASIの方向性をどう考える

人工知能がAGIのレベルに到達しようとする方向性と、個人の感情に合わせてパーソナライズしていく方向性は、アウトプットの形こそ違いますが、内部で使われる技術は非常に近いと考えられます。個人の細かい機微を捉えて必要な対応をすることと、現在の社会や世界を理解してプランニング・実行していくことは、「対象(個人や世界)を理解し、それに合わせた振る舞いをする」という根本的な点で共通しているためです。したがって、これらの技術が発展することはAGIへ近づくことと同義であると考えます。

AIはビジネスで利用できるのか

現在の一般的なAIは、ユーザーが心地よく対話できるように目的関数が設定(チューニング)されているため、そのままビジネスに導入すると「耳障りの良いことは言うが、ビジネスの成果は出ない」というリスクを孕んでいます。AIをビジネスで有効利用するためには、売上の向上や利益の最大化など「自社にとってのビジネスの成功とは何か」を明確に定義し、それを目的としたビジネス用のAIを活用する必要があります。事業環境の変化に合わせて成功の定義を見直したり、AIの導き出した答えが本当に自社のためになるかを判断したりする役割は人間にしかできないため、最終的なジャッジメントを行う人間の重要性は今後より高まります。人間側にしっかりとした軸がないと、逆に「AIに使われてしまう」危険性があると警鐘が鳴らされています。

<Part2につづく>

AIを「わかる」から「できる」へハンズオンAI研修