株式会社ばんそう

【AIツール接続の罠】偽ツール100%騙される 株式会社ばんそう AI開発責任者 岡田 シェーラン

BANSO CHANNELのAI活用編。今回はAIと外部ツールを連携させる仕組みに潜む重大なセキュリティ上の脆弱性について株式会社ばんそうのAI開発者、岡田シェーランが解説していきます。

登壇者

岡田 シェーラン

株式会社ばんそう AI開発責任者

岡田 シェーラン Shalin Okada

複数のスタートアップにて取締役・CxOを歴任し、技術・プロダクト両面での専門性を活かしながら、事業立ち上げと成長を牽引。特に、共同創業者として参画したCLIMTでは、大規模言語モデル(LLM)や生成AIを活用したプロダクトの企画・開発を主導し、戦略構想から実装、資金調達に至るまで一貫してリード。新技術の事業応用における高い解像度と実行力に加え、複雑な技術的要素をプロダクト価値へと転換するアーキテクチャ設計力を強みとする。 2025年より株式会社ばんそうに参画し、ばんそうAIのプロダクト開発をリード。

MCP・A2Aとは

AIとツールを接続する代表的な仕組みとして、大きく「MCP」と「A2A」の2つがあります。MCP(モデルコンテキストプロトコル)はClaudeを開発するAnthropic社が提供する仕組みで、AIとAI以外のツールを繋ぐために使用され、すでに1万以上のツールが対応しています。一方、A2A(Agent to Agentの略)はGoogle社が開発したもので、大手企業が50社以上参加している接続ツールです。

偽ツール実験

カナダのサイバーセキュリティ研究所とマスターカードが発表した論文の中で、AIに本物のツールと偽物のツールを繋ぎ、AIが正しいツールを選べるかを検証する実験が行われました。その結果、AIが偽物のツールを選んでしまう確率は100%であることが判明しました。例えば、経費精算ツールを接続して使用した場合、偽のツール側に会社のデータを送ってしまい情報漏洩に繋がる危険性が報告されています。これは、AI自身に接続先のツールが本物か偽物かを判断する仕組みがないためです。

3つのリスク

AIツールの接続には、具体的に以下の3つのリスクが潜んでいます。

  1. 本人確認の甘さ:読み書きの権限が広すぎたり、パスワードの有効期限が設定されていなかったりするなど、セキュリティのハードルが低く自由に出入りできる状態になってしまうリスクです。

  2. 導入時の安全性:公式のITベンダーだけでなく個人が開発したツールも多数存在するため、出所不明なツールを接続してデータ漏洩を招く危険性があります。

  3. 運用中の安全性:導入時は安全なツールであっても、自動更新によって危険なバージョンにすり替わったり、内部に攻撃用のスクリプトが仕込まれたりするリスクです。

3つの対策

上記のリスクを軽減するためには、以下の3つの対策が重要になります。

  1. 導入前の提供元確認:便利そうだからとすぐに導入するのではなく、開発元やユーザー数を確認し、社内のDX担当者やセキュリティ専門家に問題がないかを必ず確認します。

  2. AIに任せる範囲の限定:何でもAIに任せるのではなく、データの読み込みのみを許可し、外部への送信や書き込みは人間が必ずチェックする、あるいは手動で入力するなど、任せる範囲を絞ります。

  3. 自動更新をしない:新バージョンが出てもすぐにアップデートせず、リリースから1週間ほど様子を見て問題がないことを確認してから更新するようにします。

まとめ

Anthropic社のMCPやGoogle社のA2AといったAIとツールの接続の仕組みには、現状としてセキュリティ上の穴があり、本人確認の甘さや導入時・運用中の安全性といったリスクが存在します。これらのリスクを防ぐためには、導入前に安全性を確認し、AIに任せる範囲を適切に制限した上で、自動更新をせずに安全なバージョンであることを確認してから利用することが非常に重要です。

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