登壇者

Carbide Ventures, General Partner トレジャーデータ株式会社 代表取締役
堀内 健后 Kengo Horiuchi
コンサルティング会社、証券会社を経て、2013年にトレジャーデータの日本事業立ち上げに参画。マーケティング・ディレクターとして、トレジャーデータの主力サービスであるデジタルマーケティング分野におけるカスタマーデータプラットフォームのPRから案件開拓までを担当。2021年8月にトレジャーデータの創業メンバー等と、シリコンバレーと東京に拠点を持つベンチャーキャピタル、Carbide Venturesを設立。日米を中心に、エンタープライズSaaSなどのスタートアップに投資し、スタートアップの企業価値向上に務める。現在、Carbide Venturesジェネラル・パートナーならびにトレジャーデータ株式会社代表取締役を務める。

株式会社ばんそう 代表取締役CEO
松田 克信 Katsunobu Matsuda
営業とマーケティングの関係性
営業とマーケティングを両方こなせる人材は、「おそらくできる人は両方とも一緒にやっているものの、こういう人は数が少ない」とも堀内さんは指摘されています。
マーケティングは営業担当者のパフォーマンスを向上させるための機能として存在します。全ての営業担当者がこのスキルを備えられるわけではないため、会社として育むべきものです。
マーケティングは会社の営業にとっても重要であり、個々の営業担当者にとっても営業しやすくなるという点では、ものすごく重要です。
ドラッカーの考えでは、マーケティングの至上命題は営業をしなくて済むようにすることとされており、営業とマーケティングの間にどちらが上か下かという関係はなく、順番の中でやっていくことと位置づけられています。
日本では、昔から「行って話したら終わる」という文化や、特に地方企業では「顔を見て判断したい」という傾向が強く、営業とマーケティングの機能が分かれなかった側面があったとされています。
企業によっては「マーケティング部と営業部が仲が悪い」という問題が起こることがあります。例えば営業側がマーケティングを「彼らはお金を使って遊んでいていいな」と誤解することから生じます。
この対立を解消するためには、まず社内でマーケティングの人たちがどう売りやすくするかというのをよく話してもらい、営業へのヒアリングを通じて相互理解を深めることが重要です。

営業とマーケティングを融和させるには
営業担当者、マーケティング担当者には、それぞれに役割と意味があり、「お互いがいるから実は助かるのだ」という理解が進まないことが多い現状があります。
日本の企業では人事異動の影響で営業担当者がマーケティング部に異動したり、マーケティング担当者が営業部に異動したりすることが頻繁にあり、これにより業務の定義が曖昧になりがちです。例えば、営業担当者が無意識にマーケティング活動を行っているにも関わらず、それを全て営業活動だと認識しているため、人に「マーケティングをやっている」と言っても「ああ、それは営業ですね」と言われるといった状況があります。
この曖昧さは先輩や上司から言われたことを通常通り実行してしまっていることが原因であるとされ、解消するには、まず活動の定義とゴールの定義を両部署で明確にすることが重要です。解決策としては経営やビジネス的な学びを深めた上で、現在自分たちがやっていることをヒアリングし、再定義することで、大抵はうまくいきます。

外資系、日系企業の営業、マーケの違い
日本企業では、できる人に仕事が全て集まり始める傾向があり、部署に関係なく業務が集まることがあります。また、他部署の業務を手伝うことがプラス評価につながることもあり、結果として定義に関する概念が曖昧になってしまうという問題が生じやすいです。
外資系企業では、マーケティングはマーケティング、営業は営業というようにバシッと業務が明確に定義されています。どんなに能力がある人でも、自分の部署外の業務を行おうとはせず、逆に行えばマイナス評価になることもあります。
外資系は効率的で、高く早く売れるものを売っていくことに特化していますが、一方でものすごく細かく分業されているため、業務の間に見落としやすい部分もあり、「私が担当ではない」という理由で業務の取りこぼしが生じやすいと言われます。例えば、カスタマーサポートからの連絡が来ないといったケースは典型的な例です。
対照的に、日本では自分の担当じゃなくてもお客様が困っていれば懸命に対応してくれます。
この違いは、専門性の育成にも影響します。外資系企業のマーケティングのスペシャリストは、別の会社に移っても翌日から働けるほどすぐに業務を始められます。なぜならマーケティング業務はどの会社に行っても同じだからです。しかし、日本企業では部署の名前とやっていることが全然違うことがあり、会社固有の専門用語などがあり、慣れるのに半年かかるといった、キャリアの進展が遅い側面があります。

デジタルで変わるマーケティング
B2C(消費者向け取引)では、まず商品を知ってもらい、使ってみたいと思ったり、食べてみたいと思ったりしてもらうことが重要です。その上で、商品が店頭にないと困ってしまうため、店頭に商品を確実に配置できるようにするといった話がバリューチェーンの中で起こります。
B2B(企業間取引)は、営業担当者が商品説明して、企業に買ってもらう形です。
しかし基本的には「B2Cで磨かれてきたマーケティング」の手法が、B2Bマーケティングにも応用されています。
「デジタル」という要素が加わることでデジタルマーケティングが登場し、データの扱いなど新たな複雑さが増しています。日本ではデータ関連の業務がIT部門の管轄かITシステムではないのかと混同されがちです。
マーケティングのゴールは、市場を作るために見込み顧客に振り向いてもらうことや、ニーズを捉えてこのようなものを作ったら良いのではないかというマーケティングリサーチ的な部分、そしてお客様に届け知ってもらうことの2点に集約されます。
インターネットの登場とスマートフォンの普及により、生活者側、消費者側の行動が大きく変わったことが、デジタルマーケティングの発展に最も大きな影響を与えています。
例えば、車の購入プロセスは大きく変化しました。以前はディーラーに何度も足を運び試乗することが一般的でしたが、現在ではウェブサイトでの情報収集が主流となり、ディーラーへの訪問回数が平均1.5回に減少しています。これは「2人に1人は『この車をください』と言うだけ」という状況を示しており、ディーラー側の対応は変わっていないにも関わらず、デジタル化が顧客の購買行動を大きく変えたことを意味します。
この変化はマーケティングだけでなく、ECサイトのように営業もデジタル化しているという側面もあります。
購買を決めていくプロセス全体がデジタル化しているため、その手前の知ってもらう、振り向いてもらう活動もデジタル化しているのです。
ビッグデータやDX(デジタルトランスフォーメーション)といった動きも、企業のマーケティング営業活動の中がどんどんデジタル化していくことの一環であり、一つ一つがデジタルマーケティング、デジタルセールスになっていくという見方が示されています。

<Part3につづく>
関連記事
Related Column

【デジタルマーケの基本と最新トレンド Part1】今さら聞けない、マーケティングの本質とは?|Carbide Ventures堀内健后氏 × ばんそう松田

【デジタルマーケの基本と最新トレンド Part2】営業とマーケの分断、どう乗り越える?|Carbide Ventures堀内健后氏 × ばんそう松田

【デジタルマーケの基本と最新トレンド Part3】中小企業でもできる!デジタル活用のリアル|Carbide Ventures堀内健后氏 × ばんそう松田

【デジタルマーケの基本と最新トレンド Part4】AIで変わるマーケの未来と、今すぐ始めるべき理由|Carbide Ventures堀内健后氏 × ばんそう松田